一人暮らしと孤独

 

 

一人暮らしをしたいと思い始めたのは中学生の時だった。五月蝿い親から離れ、自由になりたいと思い、一人暮らしの憧れは強く、空想に描かれた。その頃の私の中では自立とは自由になる事とイコールだった。

 

中学、高校と一人暮らしをしたいという希望は叶わず、あれあれという間に大学生になり、私は念願の一人暮らしを始めた。

 

一人暮らしをしたら、素敵な家具を買い、緑を飾り、フレンチ調のお洒落な部屋にして、丁寧な暮らしを!という理想の生活には程遠かったが、好きなだけダラダラした時間を過ごせる毎日に満足していた。

 

同時に少し孤独を覚えた。ホームシックとはまた違うのだが、1人でいる時間が増えた為、寂しさも増えた。後ににこの孤独とは一生付き合っていかなければならないことを知った…なーんて。

 

月日は流れて、あっという間に大学4年生になり、進路を考える時期となった。私は大学院へと進みたいと思ったが、それと同時に就職し、経済的な自立を果たしたいとも思っていた。

 

一人暮らしによって、物理的に自立したとはいえ、まだまだ金銭面では親に頼り切りである。

私が使っているのは親のお金で(バイト代もあったが)学費も家賃も親に出してもらい、仕送りもしてもらっていた。その点では恵まれた大学生である。ぬくぬくと親のお金で生活していたのだから。

 

その一方で、文句?はよく言われた。髪を染める、全身鏡を買う、化粧品を買う、、、、その度にそんな物にお金を使うなら仕送りを止める。何のために大学に行かせてやってると思ってるんだと怒られた。また、親の意思にそぐわないことをすると仕送りを止めると言われ、実際数週間程止められた。

 

時間とは決断を迫ってくるのだから恐ろしいものである。私はギリギリまで大学院に行くか就職するか迷っていたが、結局就職の道を選び、経済的自立を果たすことにした。経済的な自立を果たすことで親から完全に自立できると思ったからだ。

 

もうどのようにお金を使っても怒られない。仕送り云々で支配下におかれることもない。髪を染めても、好きな化粧品を買っても、文句を言われない。自分のお金でやりくりしているのだから。

 

一人暮らし。自分で稼いだお金。

 

自由!!!

 

社会人になり働き始めると、家と職場を往復する毎日。友人と会う機会もめっきり少なくなった。

 

私は大学生時代から感じていた孤独を、より強く孤独を感じるようになった。大学生の間は一切悩まされなかったが、初めてホームシックにもなってしまった。故郷が恋しい。

 

学生の頃から憧れていた一人暮らし。憧れの自立。憧れの自由。それを全て叶えたはずなのだが、私はまだ納得できていない。今の私の中での自立とは孤独に近い。

 

そんな時ふと自分は精神的自立を果たせているのだろうかと疑問に思った。今現在私は物理的には1人で暮らしていける。しかし、精神的には孤独を抱え、1人でいたくないと思っている。これは自立しているといえるのかしらん。ひょっとしてひょっとすると自立できていないの??

 

でもこうしてゆっくり自分に向き合う時間があるのも1人の時間があるからこそなので、精神的自立に関してはもうちょっと考えてみようと思う。まだ分からないので。